夢を楽しむ月花庵

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夢判断全書(附秘法まじない) 美不二 廼舎 感想

著者:美不二 廼舎 / 発行所:株式会社神宮館
発行日:昭和27年(1952年) / ページ数:57

日本古来からの夢占いに触れられる

高島易断で有名な「神宮館」発行の夢判断書です。
なんだ占い方面からのアプローチか・・・と思ったら、そうじゃなかった。
すごく「夢」のことを考えていて、
尚且つ新しい時代の学びにも対応した素晴らしい夢の本でした。

昭和30年以前ということで、文体というか言い回しが古臭く、
漢字も旧字体の画数が多いものがほとんど。
ふつうに現代っ子の自分には少し読みづらいですが、読めないことはありません。
ちょっと難しいだけ・・・
むしろ今この文体見るとかっこよくね???ってなります。笑

他の夢判断の古書を読むともっとよくわかるのですが、
日本の夢判断の辞書は「天」と「地」の項目がとても多いです。

さすがお天道様の国・・・と言うまでもなく、
夢の中では天気はとても大事な要素なのですが、
国によっては曇りが多かったり雨が少なかったりと、
いろいろあると思いますので、
天気や大地の様子の移り変わりの項目が多いのは、
四季が豊かな日本ならではの特徴のような気もしました。

肝心の夢占いの辞書の部分ですが、
これは仕方ないですが、やはり合う合わないは人によります。
なにより、とてもアバウトです。
甚だ良し、とか、わるい、とか、凶事にあう、とか、
たまに具体的に口論があるとか書いてあったりするものの、
これに頼り切って判断するにはきびしいです。
しかし、この本の本質はそこではありません。
この事については、次の項目で語ります。

本の後半は、夢とは関係ない日用まじないが載っています。
ここは夢のサイトですので割愛しますが、
おまじない・・・お札の書き方とか、かっこいいです。

夢への正しき態度

この本に惚れた部分として、下記のような事を書いている部分がありました。

(自分の要約)
悪夢拂いの秘訣は、そうならないようにする注意と努力をすることである。
それでも不安なら、このまじないを頼りなさい。

悪夢への対処の仕方はまさにこの通りであり、
悪い意味が書いてあったとしても、
それは予言ではなくて「可能性の高い予想」なので、
どうしたら改善ができるかを考える必要があるのです。
これは夢分析をする意味そのものであり、
悪夢と向き合う事こそ、危機回避ができて良い事が多いのです。
(だから悪夢の判断内容は、当たる当たらないとかより、
当然外れた方よくて、当たったらあかんのだわ・・・)
まぁ夢に限らず、なんでもそうなのです。
備えあれば患いなし。古い言葉は良く表していますね。

更にこの本では他にない優しい助言があり、
それが「このまじないを頼って」という所です。
やっぱ怖いもんは怖くて、そういう時に「おまじない」という
安心の拠り所を作ってくれるのは、すごく優しいなと思いました。
あまり悪夢に対して不安になっても良くないのは確かであり、
それを軽減できる可能性のある「おまじない」というお守りは、とても素敵だと思いました。
勇気を貰えます。

まじない集!

この本の半分以上のページは、
実は夢とは関係のない「まじない集」となっております。
おふだの書き方とか、お薬の作り方とか、呪術の実行方法とか。
うん、ほんとに夢と関係ない。笑
でも面白いです。近代化で忘れられていく、
そういう文化のことをしっかり記していて、
この本の情報が更に古いものを扱っているのだと実感できるものとなりました。
歴史があると感じられる純度がすんごい高い・・・この本カッコイイ・・・・

呪術っていうとなんか怖いけど、この本は悪い事は書いていません。
わるい呪術は「呪詛」と書いてマヂモノと言って区別しており、
忌むべきものである、と書いてあります。
光のオーラがすごい。カッコイイ。

火傷や擦り傷を改善するお薬の作り方、
迷った人を元の場所に戻すように則すまじない、
厄除けのお札の書き方など、日用にできる(?)良い事が書いてあります。
(薬はちょっと日用にするには怖い内容だけど)
まぁそういう内容なので、この本は本当に優しさでできていると感じました。
ほんまカッコイイ・・・

感想まとめ

まとめ:人の幸せを願うイケメンな本だった。

ほんとカッコイイ。
カッコイイという一言で表したくなるくらい、カッコイイ本でした。

最終的には夢だって精神的な問題なので、古い本とはいえ、
その本質をしっかり示し、現代でもしっかり通じる精神論を書いているのが好きです。
(精神論だけでは難しいから夢分析が発展したんだろうけどね・・・)
なんかもうほんとに、まじないもカッコイイ本なので、
ちょっとファンタジーな気分にも浸れると思います。
オカルトが好きだったり、スピリチュアルな事が少しでも好きな人には、
受け入れやすい本かもしれません。筆者とかヾ(:3ノシヾ)ノシ

古い本なので見つけにくいとは思いますが、
もし見かけましたら、少し読んでみてほしいです。
古い夢判断書の中では、比較的新しく、探そうと思えば見つけやすいと思います。
日本の夢判断の文化というか、こういう雰囲気も、消えてほしくないなぁ

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